SatoYuki-Yuki Sato's Law Blog-

Partner, Attorney at Law admitted in Japan and New York. My areas of practice include M&A, corporate laws, investment funds as well as capital markets.

株式会社エボラブルアジアによる株式会社まぐまぐの子会社化

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ちょっと話題の株式会社エボラブルアジア(「エボラブルアジア」)が、2017年9月12日付で、株式の取得及び簡易株式交換により株式会社まぐまぐ(「まぐまぐ」)を子会社化すると適時開示を出していました(http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS99831/e13a1524/ba55/4914/9e12/930069709e62/140120170911471808.pdf?_ga=2.123944586.1815712226.1505317662-150090133.1505317662)。

エボラブルアジアは、①まぐまぐの85.7%の株式を保有するニューホライズン 2 号投資事業有限責任組合から65,574 株 (議決権の数:65,574 個)(議決権所有割合:59.6%)を相対で取得し、また、②まぐまぐの株式28,682株をニューホライズン 2 号投資事業有限責任組合から取得する予定の株式会社エヌ・エイチ・シー・フィフティーン(「NHC15」)との間で簡易株式交換を行うことにより、NHC15を通じてまぐまぐの株式 28,682 株を①に加えて保有するようです。

NHC15の親会社は、ニューホライズン 2 号投資事業有限責任組合を運用するニューホライズンキャピタル株式会社であり、「予定」とはいえ、確実にまぐまぐの株式をニューホライズン 2 号投資事業有限責任組合から取得できるものと思われます。なお、簡易株式交換の効力発生日までに、ニューホライズンキャピタル株式会社は、NHC15の全株式をニューホライズン 2 号投資事業有限責任組合に譲渡することから、簡易株式交換の結果、エボラブルアジア株を取得するのは、ニューホライズン 2 号投資事業有限責任組合ということになるようです。

エボラブルアジアからすれば、まぐまぐ株の対価として、現金+エボラブルアジア株という形でキャッシュアウトを少し抑えて買収した格好になります。他方、ニューホライズン 2 号投資事業有限責任組合からすれば、一部は現金化し利益を確定し、一部エボラブルアジア株の値上がりによる+αを狙ったDealということになろうかと思います。

ちなみに、NHC15は、まぐまぐ株を保有するためだけのビークルであり、NHC15の価値はまぐまぐ株式のみから構成されており、その意味では、先月開示された株式会社アクロディアによる株式会社エンターティンメントシステムズを完全子会社とする株式交換契約を締結した事例(http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1510905)に少し似たスキームという面がありますね。なお、NHC15の設立は昨年10月13日ですので、NHC15は本Dealのために設立されたものなのかその設立経緯は上記のエボラブルアジアの適時開示上は明らかではありません。