SatoYuki-Yuki Sato's Law Blog-

Partner, Attorney at Law admitted in Japan and New York. My areas of practice include M&A, corporate laws, investment funds as well as capital markets.

改めて読む「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律 第二節 有限会社法の廃止に伴う経過措置」のうちM&Aに関連する条項

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桜のシーズンの目黒川


事業承継関連で、特例有限会社(旧有限会社法上の有限会社)が関連するM&Aのご相談を受けることがありますので、改めて「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(整備法)「第二節 有限会社法の廃止に伴う経過措置」のうちM&Aに関連する条項を整理しました(DDに際して、定款や登記の確認にあたって、みなし規定に留意が必要ですが、こちらは今回のブログからは省略しました。定款や登記の記載からだけでは、特例有限会社の状況が把握できず整備法の記載と照らし合わせて初めて特例有限会社の状況がわかるため、特例有限会社を事業承継等で買収する場合は、弁護士を手続きに関与させておくのが良いと思います。)。会社法制定時には、色々経過措置等チェックすることが多かったですが、会社法が施行され既に10年以上が経過し改めて復習する感じです。

第9条 (株式の譲渡制限の定めに関する特則)

  1. 特例有限会社の定款には、その発行する全部の株式の内容として当該株式を譲渡により取得することについて当該特例有限会社の承認を要する旨及び当該特例有限会社の株主が当該株式を譲渡により取得する場合においては当該特例有限会社会社法第136条又は第137条第1項の承認をしたものとみなす旨の定めがあるものとみなす。
  2. 特例有限会社は、その発行する全部又は一部の株式の内容として前項の定めと異なる内容の定めを設ける定款の変更をすることができない。

定款の記載に関わらず、特例有限会社は、譲渡制限会社として、株主が株式を譲渡する場合は、会社の承認が必要ということになります。登記事項証明書には記載されることになります(会社法911条第4項第7号参照)ので気が付かないという事はないと思いますが、特例有限会社を買収する場合は認識しておくべき条項ということで。

第37条 (合併等の制限)

特例有限会社は、会社法第749条第1項に規定する吸収合併存続会社又は同法第757条に規定する吸収分割承継会社となることができない。

特例有限会社は、合併の際、存続会社になることはできないため、特例有限会社側を存続会社にするためには、特例有限会社を通常の株式会社に移行させることが必要となります。特例有限会社を通常の株式会社に移行させるには、商号変更を行うことによって(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第45条)特例有限会社を解散、株式会社を設立することになります(同法第46条)。なお、特例有限会社が消滅会社となる合併については、特に制限はありません。

第38条 (株式交換及び株式移転に関する規定の適用除外)

特例有限会社については、会社法第五編第四章並びに第五章中株式交換及び株式移転の手続に係る部分の規定は、適用しない。

特例有限会社は、株式交換や株式移転の対象となりません。特に、株式交換に対象とならず、そのままでは、株式交換による完全子会社化をすることができないことには留意が必要で、前述の商号変更による株式会社への移行を先立って行う必要があります。