SatoYuki-Yuki Sato's Law Blog-

Partner, Attorney at Law admitted in Japan and New York. My areas of practice include M&A, corporate laws, investment funds as well as capital markets.

株式会社アエリアによる株式会社トータルマネジメントの子会社化

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最近M&Aを繰り返していてちょっと話題の株式会社アエリア(「アエリア」)が、2017年9月26日付で、株式会社トータルマネジメント(「トータルマネジメント」)を子会社化すると適時開示を出していました(http://www.aeria.jp/pdf/urnQBz)。

今回の子会社化のスキームは、①アエリアが普通株式の発行済株式数の全てを保有し、あかつき証券株式会社(「あかつき証券」)が議決権のない優先株式保有するアエリアの子会社株式会社アエリア投資弐号(「取得用子会社」)が、トータルマネジメントの株主から現金を対価としてトータルマネジメントの全株式を一旦取得し、その後、②あかつき証券保有する取得用子会社の優先株式が取得用子会社の普通株式に転換[1]され、アエリアと取得用子会社で株式交換を行うことにより、あかつき証券保有する取得用子会社の普通株式を全部アエリアが取得することによってアエリアは、トータルマネジメントの完全子会社化を行うとのことです(トータルマネジメントは、アエリアの直接の子会社になるのではなく、取得用子会社を通じて孫会社という形になります。)。

アエリアからすれば、トータルマネジメント株の対価として、アエリア株を用いる形でキャッシュアウトを抑えて買収できることになります。他方、トータルマネジメントの株主からすれば現金化し利益を確定することができ、取得用子会社に優先株出資を行ったあかつき証券はアエリア株が値上がりすることによって利益を得ることを狙ったDealということになろうかと思います。

ちなみに、取得用子会社は、トータルマネジメント株を保有するためだけのビークルであり、取得用子会社の価値はトータルマネジメント株式のみから構成されており、その意味では、先月開示された前に本ブログでも書かせていただいた、株式会社エボラブルアジアによる株式会社まぐまぐの買収事例(http://yukis725.hatenadiary.jp/entry/2017/09/17/030302)や株式会社アクロディアによる株式会社エンターティンメントシステムズを完全子会社とする株式交換契約を締結した事例(http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1510905)に少し似たスキームという面がありますね。なお、取得用子会社の設立は今月5日で適時開示によれば「取得用子会社は、対象会社を取得するために設立された会社のため記載すべき経営成績及び財政状態はありません。」とのことです。

[1] 適時開示によれば、「本株式交換においては、当社は、本株式交換により当社が取得用子会社の発行済株式の全部を取得する時点の直前時(以下「基準時」という)に、取得用子会社 の株主名簿に記載された取得用子会社 の 株主(当社を除く)に対し、取得用子会社の優先株式に代わり、その所有する取得用子会社の普通株式の数に、以下の算式により算出される株式交換比率を乗じて得た数の当社の普通株式を割り当てます。」との記載があることから株式交換が行われる前に優先株式普通株式に転換されるものと考えられます。なお、適時開示には、「当社は、基準日における取得用子会社の株主の所有する取得用子会社の優先株式数の合計数に、 上記株式交換比率を乗じて得た数の当社の普通株式を交付します。当社は、本株式交換による 株式の交付に際し、新たに普通株式を発行する予定です。」との記載もあり、優先株式を直接取得するのではないかと思わせる記載もあり、スキームは少々不明確ではあります