SatoYuki-Yuki Sato's Law Blog-

Partner, Attorney at Law admitted in Japan and New York. My areas of practice include M&A, corporate laws, investment funds as well as capital markets.

秋のベンチャー企業向け無料法律相談(M&A、投資、資金調達関連)やります。

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ベンチャー企業向け無料法律相談を実施します。今回は、M&Aや投資、資金調達関連のご相談を対象とさせていただきます。実施期間は11月2日(月)から11月13日(金)の2週間です。予約制となりますので、ご希望の方は、info.tokyo@namura-law.jp 宛に下記のフォームに従ってメールでご連絡下さい。場所は、丸の内又は虎ノ門となります。ご相談は30分から1時間程度の面談による相談とさせていただきます。

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1.会社名及び氏名:

2.住所:

3.電話番号:

4.会社及び業務の概要(ごく簡単にで結構です):

5.相談の概要:

6.相談希望日時(なるべく幅を持たせて下さい):

第1希望:

第2希望:

第3希望:

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We will have a free legal consultation for start-ups on M&A and equity/debt financing from 2nd to 13th day of November.  For booking, please contact Yuki Sato at info.tokyo@namura-law.jp with the information below. You will have 30min to 60min. Sorry but we do not provide e-mail or telephone consultation on legal matters.

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1.Company name and your name:

2.Address:

3.Tel:

4.Outline of your business:

5.Your question/concern:

6.Preferred dates and times:

First choice:

Second choice:

Third choice:

M&A-アルピコHDによるマツヤの完全子会社化

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アルピコホールディングス株式会社(「アルピコHD」)によるマツヤ株式会社(「マツヤ」)の完全子会社化のプレスリリースが出ました(http://www.daiwair.co.jp/CIB/7452/press/2015/pdf/p_20151009_02.pdf)。上場会社の完全子会社化ということでよくある話ですが、長野の地元企業同士のM&Aという点で話題性があります。

私個人としては、現在はてなでブログをやっているのですが、以前はライブドアブログでブログをやっていました。今回のプレスリリースを見て、当時、「M&A-マツヤとアルピコHDの資本業務提携」ということで、アルピコHDとマツヤが資本業務提携した話を取り上げていたことを思い出しました。ちなみに、このブログも今回のプレスリリースのおかげで再びPVが増えています(笑)。当時は、アルピコHDは、マツヤの第2株主で17%程度しか保有していなかったのですが現在は筆頭株主として24%も保有しているのですね。

 

yukisato.blog.jp

 

不正競争防止法の改正とセミナーのご案内

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本日は、M&Aや海外の法律ネタではなく、不正競争防止法の改正について書いておきたいと思います。営業秘密漏えいとして思いつくのは、どのようなものでしょうか?新日鉄住金の高機能鋼板に関する情報が韓国企業のポスコに流出した事件、東芝NAND型フラッシュメモリーの情報が提携先企業の従業員経由で韓国企業のSKハイニックスに流出した事件、あるいはベネッセの個人情報が委託先企業の従業員により名簿業者に売却された事件などでしょうか。ご存じのとおり、前二者のような技術情報はもちろんのこと、個人情報(顧客情報)まで、営業秘密に該当しうるわけです(秘密として管理されているといった営業秘密に該当するための3要件はありますが)から、営業秘密を持っていない企業というのはむしろ少数派でしょう。営業秘密漏えいに関する不正競争防止法の改正は、企業の業種、規模などを問わず要チェックです。

不正競争防止法の改正

ここでは全てを取り上げることはできませんが、例えば、刑事罰については罰金の上限が引き上げられ、個人については、1000万⇒2000万、法人については3億⇒5億となっています。また、営業秘密を不正に取得した者から当該営業秘密を取得した者(例えば競合他社や名簿業者など)も独立した類型として処罰対象となりうることになります(以前は、共犯にならない限りは処罰対象ではありませんでした)。

METIの資料2枚目では、米国の刑事罰、懲役の長さ、罰金の高さが目を引くところです。

また、営業秘密が国外へ持ち出された場合には捕捉することは難しい、また我が国の基幹産業において競争力の喪失のおそれがある等の理由から、日本国外における使用目的で営業秘密を不正に取得した者などに、2000万⇒3000万、法人は5億円⇒10億円と刑罰の上限を引き上げ重罰化がなされます。

民事責任についても、営業秘密の不正使用行為に関する推定規定が導入され、(1)生産方法又は一定の技術上の秘密(政令により定められます)について、(2)相手方が営業秘密を不正に、又は悪意若しくは重過失で取得し、(3)自社の技術を用いて生産できるものを生産しているか営業秘密を利用していることが明らかな行為(これも政令により定められます)があれば、不正使用行為が推定されることになります。また、⑥除籍期間が10年⇒20年に延長されることになります。

施行時期は、公布された2015年7月10日から6ヵ月以内に政令で定める日です(通常は6ヵ月。)

セミナーのご案内

ちょっと駆け足になってしまいましたが、ここで、営業秘密に関連してセミナー等を2件告知させていただきます(笑)。

営業秘密や著作権、商標等の訴訟に関するセミナー(事務所主催)

弁護士法人苗村法律事務所参画時より一緒にやっている苗村弁護士、田中弁護士と当職で、営業秘密や著作権、商標等の訴訟に関するセミナーを開催致します(東京は10月13日と20日、大阪は8日と19日)。うちには訴訟になるほどのものはないよ~というご認識の方も多いと思いますが、訴訟での立証活動を知ってこそそこから逆算してより良い社内体制を作ることができます。ぜひご参加いただければと思います。少人数セミナーでして、各日とも2~5席のみの空きですが(本日朝の時点で)ご興味ある方はお問い合わせください。

営業秘密に関するフォーラム(一般社団法人オープンイノベーション促進協議会の公認フォーラム「知財の泉」主催)

また、東大先端研の玉井克哉教授が主宰される、一般社団法人オープンイノベーション促進協議会の公認フォーラム「知財の泉」では、次回10月21日(水)18時半より営業秘密に関するフォーラムを開催致します(本年は営業秘密に関するテーマを取り扱う予定です)。当職も運営協力等行っております。オープンイノベーションという用語にあるように、適度にオープンな環境かつ双方向(別に当てられるわけではありませんが)な環境で行っております。こちらもご興味がある方はお問い合わせください。

スキャンポファーマ合同会社による株式会社アールテック・ウエノの完全子会社化

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旬刊経理情報9月10日号(中央経済社)に、当職が共著にて執筆、寄稿しました「栄光HD買収の事例にみる 2段階TOBの法務・税務上の留意点」が掲載されていますので、是非ご覧ください。

さて、先日、スキャンポファーマ合同会社(スキャンポ)による株式会社アールテック・ウエノ(アールテック)の完全子会社化のプレスリリースが出ていましたので、簡単に取り上げたいと思います。「特別関係者」からTOBによらずに株式を買い付けることによって2段階TOBを回避している点、会社法改正後に創設された株式売渡請求権が利用される予定である点が、本件のめずらしい点になっているかと思います。スキャンポファーマは、非びらん性胃食道逆流症の新薬を開発中であり、現在Phase IIの臨床試験中のようですね。

スキームの概略

スキームはざっくり言うと以下の通りとなります。

1.スキャンポの祖父母会社であるSucampo Pharmaceuticals, Inc.(SPI)がアールテックの筆頭株主及び主要株主から市場外で公開買付けによらずアールテック株を取得(以下、取得した株式を「TOB外取得株式」といいます。)

スキャンポがTOB外取得株式以外のアールテックの普通株及び新株予約権に対して公開買付け

3.スキャンポがSPIからTOB外取得株式を取得

4.アールテックの総株主の議決権の 90%以上に至った場合、会社法第 179 条に基づき、アールテックの株主(SPI、スキャンポ及びアールテックを除きます。)の全員に対し、その有するアールテックの普通株式 の全部を売り渡すことを請求(以下「株式売渡請求」といいます。)するとともに、併せて、アールテックの新株予約権者(スキャンポ及びアールテックを除きます。)の全員に対し、その有する新株予約権の全部を売り渡すことを請求し完全子会社

何故公開買付けによらずアールテックの筆頭株主等から市場外で取得することができるのか

「スキャンポとの業務提携契約の締結及びスキャンポファーマ合同会社による当社株式及び新株予約権に対する公開買付け等の実施及び応募の推奨に関するお知らせ」(http://www.rtechueno.com/investor/press/150826b_pr.pdf)(プレスリリース)によれば、「SPI が、1年以上継続してその形式的基準による特別関係者である上野氏、久能氏及び S&R Technology から当社普通株式(所有割合の合計: 43.64%)を、公開買付けによらない市場外取引により取得」と記載しており、筆頭株主及び主要株主がSPIの形式的基準による特別関係者に該当するため公開買付けによらない市場外取引で株式を取得するとのことです。形式的基準による特別関係者とは、買付者が法人等である場合、①買付者の役員、②買付者が特別資本関係を有する法人等、③買付者に対して特別資本関係を有する個人並びに法人等及びその役員(金融商品取引法施行令第9条第2項参照)を意味します。今回は、主要株主である上野氏及び久能氏は、SPIかS&R Technology Holdings, LLC(S&R)の役員と思われます。また、S&Rは、SPIの議決権付株式の 44.4%を保有していることから、③のSPIに対して「特別資本関係を有する」「法人等」に該当するものと考えられます。なお、特別資本関係とは、ある者が他の法人等の総議決権の20%以上に係る株式又は出資を自己又は他人の名義をもって所有する関係をいいます。なお、S&RもSPIも日本の会社法に基づく株式会社や合同会社ではなく米国企業という点が特殊ですが、外国法に基づく資本関係を日本の金商法上どう評価するかという点は解釈の余地があるものと思われますが、今回の特別資本関係があるという判断は妥当だと思われます。

TOBの対象外とする実質的な理由

プレスリリースによれば、S&Rや上野氏及び久能氏は、「当社普通株式の売手であると同時に実質的な買手でもあり、当社の買収のシナジーを買手として享受できる立場にあるため、当社のその他の株主の利益に配慮するべく、両者の買取価格に差を設けるため」とのことです。確かに、理由としては、一理ある気がしますが、S&Rは、SPIの44.4%しか保有していないため、S&Rや上野氏及び久能氏も買収のシナジーを全て享受できる立場ではないですし、S&Rや上野氏及び久能氏にプレミアを支払わない分公開買付け価格が高くなるという理由もない気はします。ただ、今回の一連の取引は、S&Rや上野氏及び久能氏という創業者一族の下に、SPIというNASDAQ上場会社とアールテックという日本の上場会社が並列に並んでいる資本関係だったものを、SPIを頂点とし、アールテックをその傘下にするという資本関係に変更するためのもの(以前のキューピー・アオハタやエイブル・週刊賃貸のような創業者一族の資本のもとに複数の上場企業がある資本関係を解消するスキームとパラレルに考えられる気がします。)であり、創業者一族がプレミアを取得するいわれはないという価値判断自体は正しいのではないかという気がします。

また、「両者の買取価格に差を設けるため」というプレスリリースの指摘だけを読むと、大株主向けの公開買付けと少数株主向けの公開買付けを2回に分けて行ういわゆる2段階TOBの事例を想起させますが、今回は上記のとおり公開買付けをしないでも市場外で株式を取得できるという特殊な事例のため2段階TOBにはなっていません。公開買付け等ののち、スキャンポがSPIから形式的基準による特別関係者の持っていた株式を譲り受ける形になっていますが、スキャンポからすると、S&Rは形式的基準による特別関係者には該当しないと思われることからすると、スキャンポがS&Rからアールテック株を市場外で取得するためには公開買付けを行う必要があったのを回避するため一度SPIを経由したとも言えます(スキャンポが2段階TOBを行うことも十分あり得る選択肢だったと言えそうです。)。

 キャッシュアウトの仕上げ

会社法改正によって新たに出来た株式売渡請求及び新株予約権売渡請求をスクイーズアウトのファーストシナリオに持ってきている点、又、株式売渡請求及び新株予約権売渡請求の条件(90%の取得)が充足しない場合、株式併合というこれまた今回の会社法改正によって少数株主保護の手続きが他のスクイーズアウトの手段とパラレルに組み込まれることによって実務上利用可能となった手段によってスクイーズアウトをしようという(ちょっと実験的な意味合いもある)ところが、実務家の1人としては興味深いところです。

 

 

5月から始まった怒涛のマイナンバーセミナーがひと段落しました。

 

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5月から始まった怒涛のマイナンバーセミナーがひと段落しました。今春から、各種法人・団体から次々とマイナンバーのセミナーのお話をいただき、新情報を都度付け加えつつ、お話させていただきました。 

先週は、社労士さん100人の前でお話させていただいたのですが、10月頭に引っ越し予定の人はどうなるの?とか、マイナンバーは教えてもらったものの本人確認資料(身元確認資料)をもらえない場合はマイナンバーを書かなくていいの?とか、従業員の人から扶養親族にはどう伝えてもらったらいいの?といった点は、みなさんメモメモ…と鉛筆が動いていました。 

業務ソフトの会社さんからお話があるようなセミナーもあり、実際どのような態様でマイナンバーが保管されているか確認できるいい機会にもなりました。

www.slideshare.net

リバース・モリス・トラスト方式によるM&A(コティによるP&G美容部門の取得)

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コティがP&Gの美容部門を、リバース・モリス・トラスト方式を用いて125億ドルで買収したとのニュースがありました(http://www.businesswire.com/news/home/20150715005713/ja/#.VasjruLtmkp)。リバース・モリス・トラストとは、親会社が子会社を税務メリットのある形で売却する際に用いられる米国におけるM&Aの手法の一つです。リバース・モリス・トラストの手順としては以下の通りとなります。

①親会社は、売却しようとする子会社の株式を親会社の株主に分配します。米国の内国歳入法では、このような行為は一定の条件を充足すれば、親会社と親会社の株主のいずれにも税金がかからないそうです。

②前号で親会社と同一の株主構成となった旧子会社を合併相手先会社と合併します。内国歳入法によれば、旧子会社が(どちらが存続会社かはともかく)合併後存続会社の買収者と判断されれば、この行為も税金がかからないそうです。合併後存続会社の過半数の議決権を旧子会社側の株主が保有していれば「買収者」と判断されるようです。

今回のDealでは、P&Gの美容部門をP&G本体から分離します。P&G株主は、P&G美容部門から構成される新設会社の株式を「スピン・オフ」又は「スプリット・オフ」によって取得します。「スピン・オフ」や「スプリット・オフ」は、米国の税法上の概念ですので詳しくは省略しますが、日本法で考えると、子会社株式の現物配当か、仮に会社分割で親会社の事業の一部を子会社化した時に子会社株式を親会社株主に引き渡す人的分割みたいなものだと考えることができます。

本件では、上記で示したリバース・モリス・トラストのモデルを応用しており、新設会社の株式をP&Gの株主に引き渡した後、直ちに新設会社とコティの子会社とが合併し、新設会社の株主(P&Gの株主でもある)は、合併対価としてコティの株式(コティの子会社の株式ではなく)を取得することになります。これは、いわゆる三角合併で、日本の合併制度と違って必ずしも買収対象会社の株主に対して合併対価を買収者が払う必要がない点が特徴です。日本の感覚だと、コティ子会社が新設会社を吸収合併するので、コティ子会社が、自身の株式又はコティから取得したコティ株式などを新設会社の株主に対して引き渡すのが自然な気がしますが、制度の違いが大きく現れるところですね。合併によるコティの株式発行は、新設会社の株主が合併会社の完全希薄化後全発行済み株式の52%を受け取るようになっており、上記②で示したとおり、P&Gの新設会社がコティを買収した形になるように設計されています。リバース・モリス・トラスト方式を用いる場合、株主が合併後に過半数の議決権を保有することができるよう、同じかより小さい規模の企業を合併相手とするのが一般的です。

マイナンバー法の本を執筆しました。

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こんばんは。本日は、ご報告&宣伝を。

6月中旬、私が執筆者の一人となっているマイナンバー法関連の書籍が、発刊されます!マイナンバー法関連の書籍は昨年末頃からかなり出ていますが、本書は、弁護士、税理士などの専門家に加えて、セキュリティソフト会社の方が書いている点がちょっと面白いところかと思います。

昨年後半から報道~出版物なども結構出てきていますし、3月からは上戸彩ちゃんとマイナちゃんのテレビCMが放映されていて、関心が高まっていますね。

税、社会保障、災害対策の場面で行政機関がマイナンバーを利用することになり(例えば、源泉徴収票や支払調書にマイナンバーを記入する等)、そのための補助的な立場として、民間事業者も、マイナンバーを収集、利用、保管等することになるわけです。

マイナンバー対応の何が大変かというと、やはり安全管理措置のレベルが結構高いということですね。給与計算のアウトソーシングを受けている会社や、会計ソフトウェアについてみても、まだ話を聞くと対応が不十分じゃないかなと思われるものもあります。外注するにしても、マイナンバー法の規制を受ける「個人番号関係事務実施者」になるのは、委託元なわけですので、それなりの対応が必要になります。

ちなみに、先日は、公認会計士協会東京会の方で講演してきました。前半部分が国税の方だったのですが、若干トーンダウンというか揺り戻しがあるのかなというような(安全管理措置について、中小の場合は結構緩めているというような)印象で、まだ今後動きがあるかもしれません。

ということで、本書をマイナンバー法対応のための準備の一助としていただければ幸いです。

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