SatoYuki-Yuki Sato's Law Blog-

Partner, Attorney at Law admitted in Japan and New York. My areas of practice include M&A, corporate laws, investment funds as well as capital markets.

オリジナル設計株式会社に対する創業家資産管理会社による公開買付け

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オリジナル設計株式会社の創業家の資産管理会社による、同社株式の公開買付と自社株公開買付の案件は、一見地味とはいえ、なかなか興味深いです。

資産管理会社の公開買付は、創業者からの株式の取得を目的としていますが、創業者は、公開買付者である資産管理会社の特別関係者に該当するものの、形式的特別関係者(買付者との間の資本関係又は親族関係等の形式的基準に基づき特別関係者となるもの)[1]ではなく、実質的特別関係者(買付者との間の合意という実質的基準に基づき特別関係者となるもの)[2]であるようです。

すなわち、創業者は、資産管理会社や資産管理会社の親会社の役員にはなっていないようです。そのため、公開買付規制の例外の一つとして設けられている「株券等の買付け等を行う者がその者の形式的特別関係者から行う株券等の買付け等」(金商法第27条の2第1項但書。買付け等を行う日以前1年間継続して形式的特別関係者の関係にある者からの買付け等は、支配関係に実質的な変化が生じることが少ないことから公開買付けによる必要はないと考えられています。)によることはできず、公開買付が強制されることになります。

もっとも、資産管理会社は「当社株式 553,000 株(所有割合:8.20%)を所有する当社の第2位の大株主」(https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/bdmunh/)であり、創業者は1,470,535 株(所有割合:21.81%)を保有しているに過ぎず、公開買付の上限も創業者の保有している株式数となっており、一見すると、株券等所有割合が公開買付後も約30%であり、いわゆる3分の1ルールに該当しないため公開買付けは不要と思われます。この点、開示資料によれば、当社による自己株式の取得にあわせて、創業者が所有する対象者株式を公開買付者に集約すること(「本件株式集約」)を実施することとしたことに伴い、

「当社の実施する本自己株公開買付けへの応募株式数によっては、結果として、本件株式集約及び本自己株公開買付けの実施後における公開買付者が有する当社株式の議決権の割合が3分の1を超える可能性があること(本自己株公開買付けにおける買付予定数の上限 (1,000,000 株)に相当する数の買付け等を行った場合、公開買付者の当社株式の議決権の割合は35.25%(小数点以下第三位を四捨五入)となります。)等を総合的に勘案し、公開買付者は、平成 30 年8月下旬に、株主間の平等及び取引の透明性を図る観点から、公開買付けの手法により、 本自己株公開買付けと同時に公表した上で本件株式集約を実施することが適切であると判断したとのことです。」

すなわち、同時に公表されている自社株公開買付と合わせて考えると資産管理会社の株券等所有割合が3分の1を超えるので3分の1ルールの適用があると考えるのが実質的に公開買付規制の趣旨に合致するため、形式的には公開買付は不要と判断できても公開買付のルールに基づいて株式を創業者から資産管理会社に移すということのようです。

また、開示資料によれば、対象会社と公開買付者の間で、本件株式集約と対象者が検討している自己株式の取得を実施するタイミングについて、協議を進めてきたとのことです。

おそらく、財務局等からの指導もありこのような公開買付を行うことになったと思いますが、公開買付をしても市場価格よりも安いいわゆるディスカウントTOBであるため、創業者以外の株主は公開買付に応募するとは考えにくい事案であり、本当に公開買付をするべき話であったのかは疑問が残るところではあります。

 

[1] 買付者が法人等である場合の形式的特別関係者としては、金融商品取引法施行令第9条第2項により、①買付者の役員、②買付者が特別資本関係を有する法人等及びその役員、③買付者に対して特別資本関係を有する個人並びに法人等及びその役員がこれに該当するとされています。

[2] 買付者との間で、①共同して株券等を取得又は譲渡すること、②共同して株券等の発行者の株主としての議決権等の権利を行使すること、③株券等の買付け等の後に相互に当該株券等を譲渡し、又は譲り受けることのいずれかを合意しているものがこれに該当します(金融商品取引法第27条の2第7項第2号)。