SatoYuki-Yuki Sato's Law Blog-

Partner, Attorney at Law admitted in Japan and New York. My areas of practice include M&A, corporate laws, investment funds as well as capital markets.

イマジカ・ロボットホールディングスの自己株式の処分及び株式売出し

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イマジカ・ロボットホールディングス(イマジカ)の自己株式の処分及び株式売出しが昨年春に発表されました(http211.6.211.247/tdnet/data/20140404/140120140403032860.pdf)。イマジカといえば、本社屋が西部警察のロケで使われたことでも知られる、映像関連会社ですよね。イマジカの保有している自社株と、親会社である株式会社クレアート(クレアート、一昨年のイマジカの有価証券報告によればイマジカの62.57%を保有)が保有しているイマジカ株式を売り出しによって放出するようです。

イマジカの親会社
イマジカの親会社であるクレアート自体は未上場会社ですので、有価証券報告書等の提出されていないのですが、金融商品取引法に基づき親会社等状況報告書の提出が必要とされており、ある程度の開示がなされています。親会社等状況報告書によれば、クレアートの親会社は、株式会社クレアートホールディングス(クレアートHD)という会社で、クレアートHDの株主は、林原の会社更生でスポンサーになった長瀬産業の創業家一族です。株の保有関係は、個人→クレアートHD→クレアート→イマジカということになります。

旧イマジカとフォトロンの合併
現在のイマジカは実は以前フォトロンという名前の企業でした。フォトロン時代の資本関係は、個人→クレアートHD→クレアート→イマジカ・ロボットホールディングス(旧イマジカ)→フォトロンでした。2011年4月1日に親会社である旧イマジカがフォトロンに吸収される形で合併しました(http://www.imagicarobot.jp/news/2011/pdf/hd_20110401.pdf)。通常は、親会社が子会社を吸収合併するのですが、旧イマジカとフォトロンは、子会社であるフォトロンが存続会社となり親会社である旧イマジカが吸収され消滅するといういわゆる逆さ合併を行っています。この合併の時に、フォトロンは、吸収した親会社の商号に、商号変更しています。この逆さ合併は、いわゆる裏口上場(というと、悪いことのように聞こえてしまいますが)のためではないかと考えられます。上場子会社であるフォトロンが親会社旧イマジカに吸収合併される場合、フォトロンの上場は廃止になるのですが、逆にフォトロンの上場を維持したまま合併するためには親会社側が吸収され子会社の法人格を維持する必要がありました。この吸収合併により、上場しているフォトロン(現イマジカ)の株式を保有しているのがクレアートになりました。

いずれにしても、オーナー企業において自己株式の処分及び株式売出しが行われるとオーナーの議決権割合は低下するため、あまり事例としては多くないのですが、オーナー企業で有名なイマジカが自己株式の処分及び株式売出しを行うということで注目してみました。