SatoYuki-Yuki Sato's Law Blog-

Partner, Attorney at Law admitted in Japan and New York. My areas of practice include M&A, corporate laws, investment funds as well as capital markets.

中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の一部改正案

中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(中小企業承継円滑化法)の一部改正案が先月27日に閣議決定されました。具体的な改正内容は以下の通りです。

遺留分特例制度の対象を親族外へ拡充

遺留分とは、一定の範囲の相続人(被相続人の兄弟姉妹が相続人になる場合、当該兄弟しまいには遺留分が認められません。)に対して留保された相続財産の割合をいい、例えば遺言により全ての財産を相続人のうちの1人に相続させるとしていても、遺留分を有する相続人には相続開始時に相続財産の一定割合を取得しうる権利(遺留分権)が認めるものです。この遺留分被相続人の生前であっても放棄することはできるのですが、放棄するためには各推定相続人が、裁判所に申立てを行い許可を得る必要があります(自由に放棄できるとすると、自由意思に反して放棄させられる可能性がありますので…)。

中小企業承継円滑化法は、この遺留分制度の例外を認め、株式が遺産の一部である場合、後継者が、経営者から贈与を受けた株式については、事前に後継者以外の親族と合意し、経済産業大臣の確認を受けることにより、遺留分放棄の法的確定に係る家庭裁判所の申立を単独で行うことが可能となるものです。その結果、当該株式に関しては、相続人は遺留分を主張できなくなり、株式が分散することなく後継者が会社の経営をスムーズに引き継ぐことができるようになるわけですます。この遺留分特例制度は、対象が親族内承継に限定されていたのですが、親族外の者へ株式を承継させる際にも適用できるよう、制度が拡充されることになります(従前は、推定相続人に対して株式を贈与する場合に限っていました(中小企業承継円滑化法第3条第2項)が、「他の者」と言う形で推定相続人以外への贈与の場合も適用する形となります。)。

独立行政法人中小企業基盤整備機構による事業承継サポート機能の強化

独立行政法人中小企業基盤整備機構が、事業承継 に係る計画的な取組みを後押しするため、経営者、後継者等に対して必要な助言を行えるようになります(中小企業承継円滑化法第15条第2項の新設)。

 

優秀な後継者(親族以外の場合も含め)に株式をまとめて移せるように、計画的に事業承継を行うことが重要ですね。

f:id:yukis725:20150410235233j:plain

本日は、ルーブル美術館